京都府立植物園は、認知も評価も十分に足りています。
足りていないのは「また行く理由」だけです。
この提案は、単発のイベント企画ではありません。
年に4回以上、通いたくなる植物園へと
ブランドそのものをアップデートするための、
長期のマーケティング戦略です。
① 新しい大型施設をつくらずに、いまある24haと約12,000種の見せ方を変えることから始めます。
② 既存の強い行事(桜・紅葉のライトアップ)は資産としてそのまま活かします。
③ 数値目標・イベント内容・植物名は提案時点の仮案です。★要確認事項は最終ページに一覧化しています。
日本最古の公立総合植物園。約12,000種。年間86万人超。
資産も実績も、すでに国内トップクラスです。
課題は集客力ではなく、「また行く理由」の不足にあります。
桜 → バラ → 紅葉。ピークは強い。しかしその間の月に、来る理由がない。年間の来園が数回のピークに集中し、平常月が「空白」になっている。
見て、歩いて、帰る。滞在・回遊・持ち帰り・共有までの導線が設計されていない。体験が残らないため、次回来園のきっかけも生まれない。
単発の記念事業は、記念が終われば元に戻る。100周年で集まった関心を、継続的な来園習慣へ変換する仕組みが必要。
来園者数を増やす方法は2つしかない。新しい人を連れてくるか、来た人がもう一度来るか。 86万人という規模では、後者のほうが確実で、費用も小さい。
入園料 一般500円。年間パスポート 一般2,000円。
つまり「年に4回来る理由」をつくれた瞬間に、年間パスポートは来園者にとって合理的な選択になります。
この提案に並ぶすべての施策は、派手さのためではなく、この“4回”を成立させるための設計です。
売店・飲食・ワークショップに触れる機会が年1回から年4回へ。1人あたりの園内消費が伸びる。
「私の植物園」になった人は、季節ごとに自分から投稿する。広告費のかからない認知が生まれる。
年4回の来園は、北山エリアでの飲食・買い物を年4回発生させる。植物園が街の入口になる。
植物を「見る」だけの場所は、一度で足ります。
遊べて、学べて、撮れて、持ち帰れて、誰かに話せる場所は、
季節が変わるたびに行きたくなります。
季節の主役を、いま一番きれいな状態で見せる。
歩く・探す・撮る・食べる・つくる。体験を園内に置く。
押し花・種・ハーブ・限定グッズ。季節を家まで連れて帰る。
投稿・スタンプ・図鑑コレクション。体験が誰かの来園理由になる。
4つの層に、それぞれ違う「来る理由」と「来る頻度」を設計します。ひとつの施策で全員を狙わず、月ごとに主役の層を入れ替えることで、年間の来園を平準化します。




既存の強い行事(桜・紅葉のライトアップ)は資産としてそのまま活かし、その間の月に新しい理由を足していきます。狙いは新規イベントの数ではなく、12ヶ月に空白をつくらないことです。
全12ヶ月に同じ量の施策を置く必要はありません。
来園が落ちる月に、来る理由をひとつだけ強く置く。
それが年間の来園を平準化する、いちばん費用対効果の高い打ち手です。
雨だから出かけない。屋外施設として最も弱い月。
雨を主役にする。温室と雨音、アジサイの水滴撮影、雨の日限定の入園特典。
屋内動線の明示/傘の貸出/雨天限定グッズ
暑くて日中歩けない。花も端境期にあたる。
時間をずらす。早朝開園(朝のヨガ・朝食)と、夕方の涼みマルシェ。
開園時間の弾力運用/飲食出店枠/職員体制
花が少ないという思い込みで、来園が最も落ちる。
熱帯の花・ラン室・冬の香りを主役に。夜の温室で非日常をつくる。
温室の夜間運用/暖の演出/SNSでの「冬の見どころ」発信
目的は「IPで人を呼ぶ」ことではありません。24haを歩いてもらい、体験・購買・投稿を発生させ、 IPが終わったあとも残る来園習慣をつくること。だからコラボは入口だけに置かず、園の奥まで分散配置します。
植物や生き物が物語の中心にある作品。園内の景観がそのまま舞台になり、演出の追加が最小で済む。
例:ピクミン/葬送のフリーレン
「探して集める」行動が作品の中核にあるIP。デジタル図鑑・スタンプラリーとの相性が構造的に高い。
例:ポケットモンスター/夏目友人帳
季節感や薬草・生薬などが描かれる作品。京都という土地と植物園の学術性の両方に接続できる。
例:ジブリ作品/薬屋のひとりごと
造作は動線と広場に限定し、植栽・樹木には手を触れない。IPは「植物を見に行く理由」を増やす役で、植物より前に出さない。
コラボ期間中にAR図鑑・植物コレクション・年間パスへ登録してもらう。IPが去っても、来園の習慣とデータが園に残る。
許諾料はグッズ・飲食・協賛と一体で設計する。集客増だけを根拠にした投資判断は行わない。
デジタルの役割は演出ではなく記録です。来園が記録されると、来園は「思い出」から「コレクション」になり、続きが欲しくなります。

スマホをかざすだけで、目の前の植物の情報が重なって表示される。看板を増やさずに、解説を増やせる。
「撮れる場所」を園内に点在させる。撮影は最も安価で、最も強い広告になる。
来園するたびに図鑑が埋まる。「まだ埋まっていない」ことが、次の来園理由になる。
誰が年に何回、どの季節に来ているか。年間パスの効果とリピート率が、推測ではなく数字で分かる。
園内のどこまで歩いたか。滞在時間と混雑の実態がつかめ、フォトスポットや出店の位置を決められる。
どの植物が集められ、保存されたか。翌月の発信テーマと限定グッズの企画に直結する。
専用アプリは作りません。LINEミニアプリ、またはブラウザで動くWebAR(インストール不要)+園内のQRサインで始めます。開発費・審査・更新の負担を抑え、まず1エリアで試して、効果を見てから広げる進め方を想定しています。
昼とはまったく違う世界が、同じ24haの中にあります。
ただし主役は演出ではなく植物です。
光・音・香り・映像は、植物をより良く見せるためだけに使います。
面で照らさず、一本の樹・一輪の花を彫る。影を設計して立体を見せる。
音楽で覆わず、水・風・虫の音を残す。エリアごとに音量を落とす。
夜に香る植物(ジャスミン・キンモクセイ等)を動線に沿って配置する。
建物と地面に限定して投影。植物本体には当てない。
① 照度と点灯時間の上限を先に決める ② 生育期・繁殖期のエリアは対象外 ③ 生き物(鳥・昆虫)への影響を事前評価 ④ 常設化せず「期間限定」で回す
桜の夜間開園(17:30–21:00・観覧温室も夜間開室)と紅葉ライトアップ、そして開園100周年記念事業の「LIGHT CYCLES KYOTO」により、この園で夜が成立することはすでに証明されています。次の一歩は、特別な夜を年数回から、「毎月ある夜」へ広げることです。
売店は出口ではなく、体験の最後の一手です。「その日・その季節にしか買えない」を徹底することで、物販が来園動機そのものに変わります。
園の植物を、そのまま額に。日付入りで「その日」を記録する。
持ち帰って育てる。育った報告がSNSに戻ってくる。
園の有用植物を味わう。園内カフェと同じ味を家で。
京都の職人・作家との協業。ここでしか買えない工芸品として。
植物図鑑の図版をモチーフに。日常で使うほど園を思い出す。
夜に香る植物、温室の空気。園の記憶を香りとして持ち帰る。
100年前と今の同じ場所を並べた写真集・カード。他園が絶対に作れない商品。
観察シート・虫めがね・栽培セット。自由研究の定番をつくる。
毎月ひとつ、その月の主役の植物をモチーフにした商品を出す。12種そろえたくなる構造にする。
会員だけが買える/先に買える商品を置く。年間パスの価値を「入園料の割引」から「会員特典」へ広げる。
コラボ期間中のみの商品。IPで来た人が、植物園そのものの商品も一緒に買う導線をつくる。
植物園だけで終わらせません。北山は、駅直結でこれだけの文化施設が集まる稀有なエリアです。 「植物園に行く」を「北山に行く」に広げることで、滞在時間・消費・再来訪のすべてが伸びます。
回遊が生まれると、来園1回あたりの体験価値が上がり、「植物園に行く日」が半日〜1日の予定になります。滞在時間・地域消費・再来訪意向が同時に伸びる、最も費用のかからない打ち手です。
入園券の提示で近隣施設が割引になる仕組み。逆方向の送客もつくり、植物園が「もらう」だけの関係にしない。
「今月の北山」を園と近隣が共同で作成。植物園が編集役を担うことで、エリアの季節情報が園に集まる構造をつくる。
園内スタンプと商店街スタンプをつなげ、回遊そのものを遊びにする。IPコラボ時は回遊範囲を街まで広げる。
約12,000種の植物は、毎日中身が入れ替わるコンテンツです。
広告費をかけずに毎日発信できる素材を、これだけ持っている施設はほとんどありません。
軸はFOMO(今しか見られない)。「いつでも見られる」ではなく「あと3日で散る」を言い切ることで、投稿が来園予約に変わります。

主戦場。写真と保存数で勝つ。リールで「今の園内」を毎日。
速報。開花・散り際・混雑・臨時開園の告知に絞る。
動きのあるもの(夜・雨・朝焼け・作業風景)を短尺で。
年間パス会員への直接連絡。限定イベントの先行案内。
1日1投稿×6フォーマットの固定運用。撮影は職員のスマホで十分です。型を決めて誰でも回せる体制にし、編集会議は週1回だけ。続かない運用は、最初から設計しません。
「保存数」を主指標に置きます。いいねは共感、保存は来園予約です。保存された投稿の内容を分析して、翌月の見どころ発信に反映させます。
来園者数を主指標にすると、必ず単発の大型イベント依存に戻ります。この戦略の主指標は リピート率と年間パスポート発行数。来園者数は、その結果として増える指標として置きます。
| 指標 | 現状 | 1年後 | 3年後 | 測り方 |
|---|---|---|---|---|
| リピート率(年2回以上)主指標 | ★要確認 | 20% | 35% | 年間パス保有率+来園者アンケート(四半期) |
| 年間パスポート発行数主指標 | ★要確認 | 前年比 +50% | 10,000枚 | 販売実績(月次) |
| 年間来園者数 | 86万人 | 92万人 | 110万人 | 入園ゲート集計(月次・前年同月比) |
| 平均滞在時間 | ★要確認 | 110分 | 140分 | 入退場時刻/アンケート/スタンプ通過記録 |
| SNS投稿数(指定ハッシュタグ) | ★要確認 | 月 2,000件 | 月 6,000件 | ハッシュタグ集計(月次) |
| 動画再生数/保存数 | ★要確認 | 月 30万回 | 月 150万回 | 各SNS管理画面(保存数を最重要視) |
| 地域回遊率(近隣1施設以上) | ★要確認 | 25% | 45% | 共通チケット利用数/来園者アンケート |
| 売店売上 | ★要確認 | 前年比 +20% | 前年比 +80% | 販売実績(月次・客単価も併記) |
| 飲食売上 | ★要確認 | 前年比 +20% | 前年比 +100% | 販売実績(月次) |
大きな投資を前提にした計画は、実行されません。短期は既存資産の見せ方を変えるだけで成立する施策に絞り、そこで出た数字を根拠に中期・長期の投資判断へ進みます。
施策の質より、続ける体制のほうが結果を決めます。園の職員の負担を増やさずに毎月の企画と発信を回すため、役割を明確に分けた推進チームを提案します。
意思決定/植物と学術面の監修/園内運用のルール策定/100周年未来構想との整合
年間計画の設計/SNSの日次運用/イベントの実装と現場運営/グッズ企画/KPIの計測と月次改善
共通チケット/街歩きマップ/相互送客
協賛/技術提供(AR・照明・決済)/社員向け利用
解説の監修/教育プログラム/調査研究の発信
ガイド/撮影/イベント運営/サポーター制度
短期施策はほぼ既存予算内で実行可能。広報費を「単発告知」から「日次運用」へ振り替える。
夜間演出・AR・キャッシュレスなどは企業の技術提供と組み合わせる。100周年での実例が前例になる。
年間パス会員の増加が、そのまま物販・飲食の売上母数になる。稼ぐ部分を明確に持つ。
観光・文化・教育の各制度を組み合わせる。「次の100年」を寄付の物語として設計する。

私たちはイベントをつくる会社ではなく、
「また来たくなる理由」を設計するパートナーとして、
このプロジェクトをご提案します。
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